体験者インタビュー第9回 「5メートル先の時計の秒針まで見えます」

最終更新: 1日前

 RETISSAを実際に体験していただいた方に、その感想を伺うインタビューシリーズ。

第9回は日本弱視者ネットワーク代表の白井夕子さんにお話を伺いました。

協力してくださった方

お名前:白井夕子様 

ご所属:日本弱視者ネットワーク(元弱視問題研究会)代表

眼の状態:先天性白内障

矯正視力 右:0.09 左:0.1












―自己紹介をお願いします。

 日本弱視者ネットワーク(元弱視問題研究会)の代表をしています。この会は弱視者自身が情報交換や交流会などを通じて、日常生活を改善する活動をしています。1977年設立、現在は全国7か所に地域組織があり、230名の会員がいます。隔月で会報を発行するほか、教育・就労・移動の問題に力を入れ、座談会を行なったり、弱視者にとって見やすいトイレ表示などの具体例を提案したり、法の制定や改正を求めて国に要望書を出したりしています。また、自分たちの見え方をわかってもらうツールとして、見え方紹介アプリや弱視者いろはカルタなどを作って活用しています。

―眼の状態と見え方について教えていただけますか。

 子供のころに白内障の手術を受け、水晶体を取りました。私が手術を受けた頃は、眼内レンズの寿命がわからないということもあり、子供に眼内レンズを入れることは一般的ではありませんでしたので、レンズは入れていません。眼内レンズを入れない代わりにコンタクトレンズを装用しており、矯正視力は右が0.09、左が0.1です。

 見え方は、ピンホールカメラで見ているようなものだと言われています。

 近くを見る力は高いため、5から10センチぐらいの距離に持ってこられるものは認識できることが多いです。張り付くようにして見れば、新聞の本文の文字もなんとか見える状態です。ですが、サイズが小さな文字や細い線で書かれた文字で埋め尽くされた文章を読み続けることはできませんので、新聞や本などはルーペやスマホの拡大鏡の機能を使って読んでいます。それでも漢字の1画1画の判別はつきづらく、文字の輪郭や前後関係で読んでいることも多いです。

1メートルくらい離れると、人の顔のパーツは見えませんが、知っている人なら、髪型や体型で誰だかわかります。3メートル離れると誰かを見分けることはできません。

 両眼視が出来ず、例えば、両目で月を見ると2つに見えるので、利き目だけを使って見ています。そのため遠近感はあまり感じません。

 眼球振盪があって、物を見ようとするとき目が揺れます。

―日常生活で不便な点はどんなことですか?

 外出時に不便なことが多いです。階段の段差は見えにくいですし、歩行中は、向かってくる自転車や人を避(よ)けるのが難しいことがあります。正面から来る自転車や人であっても、走行音や足音が聞こえず自分から2メートルぐらいの距離に近づくまで気が付かないことがあるからです。また、信号は見えますが、道路標識の文字は見えにくく、わかりにくいです。

 それから、役所や銀行で名前や住所を記入するときに、記入欄の枠線が淡い色だと困ります。線が見づらいと、枠内への記入が難しくなります。

―広い視野角のLKS(レーザーカレイドスコープ)と、光学高倍率カメラを組み合わせてお試しいただきました。見え具合はいかがでしたか。

 明るく見えていて色も比較的はっきりしています。机に置いたままの印刷物の文字が読めますし、5メートル先のポスターの文字も読めます。5メートル先の時計の秒針まで見えます。

 私は眼球振盪があるため、画面から視線が外れて見えなくなったり、画面内に黒い汚れのようなものが出現するなど、うまくいかない点もありますが、眼球振盪がなくて視線を動かさずに見られる人なら、いままでよりも物がくっきり見えたり、色がはっきり見えたりする可能性は高いと思います。障害物が在るのか無いのか、机の上のペンの本数、そこにあるのはコップとお皿であるなど、物体認知も含めて出来るようになるだろうという感触を持ちました。

RETISSA Display IIもお試しいただきましたが、いかがでしたか?

 前述の手持ちタイプと異なり見る画面が小さいため、眼球振盪がある私には、定点カメラの映像が地震で揺れているときのように、画面が小刻みに揺れて見えています。また、色が鮮やかに見えますが、明るすぎて眩しくもあります。ですが、眩しい映像に慣れてくると体の力が抜けて目の揺れが緩和され、映像を楽しめる時もあります。また、画像の位置を少し上にずらして見上げる感じにすると、画像が少し暗くなり、私にはちょうどいい明るさになります。

 自分で距離やピントを合わせる必要がないことは大事で、とてもありがたいことだと思います。

 もう少し軽くて、見た目もごつい感じでなくなるといいと思います。見た目のこともありますが、長い時間かけることを考えると、軽いほうがいいのです。※

―以前にお試しいただいたカメラ付きのRETISSAはいかがでしたか?

 色合いがはっきりとしましたし、コントラストが良くなりました。コントラストが良くなることで、読み書きが楽にできるようになるかもしれないと感じました。

―RETISSAを仕事や日常生活にどのようにつかえると思いますか?

 ハンズフリーで、両手が空くので、作業するときに使いやすいと思います。

 仕事では、デスクワークに適しているのではないかと思います。拡大読書器は手元とは違う方向にある画面を見ながら扱うため、慣れるために少々練習が必要です。カメラ付きのRETISSAは手元を見る感覚で扱え、視線と手元の位置関係が自然なので、文字の読み書きや作業がし易くなる可能性を感じました。

 買い物の時に、値札を見るのにもいいと思います。見えにくいものはたくさんありますが、値札がはっきり見えることは重要です。

 見えなくなってきたときに、いろいろな道具を使って視覚を補うことになりますが、拡大読書器にせよ、活字読み上げシステムにせよ、これまでと違うやりかたを覚えることが必要で、手に入れればOKというものではありません。RETISSAについても同様で、手に入れたら即外出できるというものではないでしょう。でも、装置に慣れて使いこなす練習をすることで、元の生活に近い生活、または新しい生活につなげられるのだと思います。

―RETISSAの開発について望むことをお聞かせください。

 まずは先天的な弱視者用に特化せず、前は見えていたのに何らかの病気で視力が下がってきた人やお年寄りが広く使える製品、つまり、視力を復活させる眼鏡を目指していただくといいと思います。上手く使う人はなんでもやるので、料理も裁縫も出来るかもしれないです。それが完成したら、先天的な弱視者が使える可能性が出てくると考えています。元々きれいな映像を見たことがない人が、RETISSAをのぞいた時に、「これが見えるということか」とわかるかもしれません。そういう順番で進んでくれるといいなと思います。

 そして、晴眼者が親しみやすい品を目指して開発して欲しいです。視覚障害者のみを対象とした商品開発ではなくて、一般の方が使いたい、使える商品を作ってもらえると、我々視覚障害者も手を出しやすくなります。

※編集部注 スタイリッシュなチタンフレームの販売を開始しました。

 こちらをご参照ください。

 こちらで取扱店舗をご確認ください。

*このインタビューは2019年11月28日と2020年8月28日に行いました。

*個人の感想です。見え方には個人差があります。

*LKSはLaser kaleidoScopeの略で、ハンディタイプの小型・広視野角網膜投影装置です。

*RETISSA Display IIおよびLKSは医療機器ではありません。視力の改善や補正、疾病の治療等を意図するものではありません。

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