体験者インタビュー第11回「まっすぐ前が見える!」

最終更新: 2日前

RETISSAシリーズの網膜投影を体験してくださった方に、感想を伺うインタビューシリーズ。第11回は、昨年スイスで行われた世界パラ陸上競技ジュニア選手権大会、1500mで銅メダルを獲得した、パラ陸上界期待の新人、森雄太さんにお話を伺いました。


網膜投影技術はこちら


ご協力いただいた方

お名前:森雄太様(19歳)

福岡県在住

眼の状態:網膜色素変性症

高橋様

森様のコーチ

日本パラ陸上競技連盟 強化委員

北九州市障がい者陸上競技クラブ代表


森様には、LKSを3カ月間お使いいただきました。コーチの高橋様とQDレーザの技術者チームが連絡を取り合い、森様に合わせた画像の加工も試みました。


                         撮影:日本パラ陸上競技連盟

       

―昨年スイスで行われた世界パラ陸上1500メートルでは銅メダルを獲得されました。おめでとうございます。インドの選手と競り合いましたね。

 ありがとうございます。相手の記録は、自分より5秒か10秒くらい速いと知っていたので、スタートから積極的なレースをしようと決めていました。

―御経歴を聞かせてください。

 福岡県北九州市出身です。視力障害があったので、子供の頃は、球技ではなかなか活躍できませんでしたが、小学校の低学年の時に子供会のマラソン大会で3位になりました。それで走るのが楽しいと思うようになりました。

 中学から陸上を始め、高校3年生の時初めてパラ陸上の大会で走って、パラ陸上って素敵なスポーツだなと思いました。現在は北九州の障がい者陸上クラブに所属し、2024年のパリパラリンピックを目指してトレーニングしています。

 高校卒業後、今年から地元の特別支援学校で理療を学んでいます。理療というのは、あん摩・マッサージ・指圧・鍼・灸のことです。3年間学び、卒業後に国家試験を受けることになっています。

―眼の状態について教えてください。

 目は先天性の網膜色素変性症です。3歳の頃に診断されたと聞いています。視力は両眼を合わせて0.04位です。視野は真ん中が欠落していて、その周りは見えています。ですから物を見るときは、首を動かしたり、眼を動かしたりして見ています。

 網膜色素変性症の人は、視野の外側、周辺から見えなくなることが多いそうですが、僕の場合、周辺は見えています。足元はつま先まで見えていますし、人とぶつかったりすることもないので、その点はラッキーだといえるかもしれません。

―困っていることなどについて聞かせてください。

 生まれつきの見え方なので、困っていることと言われてもなかなか出てこないです。

小中高と一般の学校に通っていましたが、小さい頃は真ん中の欠落している部分が小さかったので、授業中もしんどくはなかったです。兄も同じ目の病気なので、両親が先生に、黒板の文字を大きく書いて欲しい、席は最前列の真ん中にして欲しいと頼んでくれていました。 また、助けてくれる友達もいたので、困ることはありませんでした。

 以前、通学に使うバスの行き先表示が見えなくて困ったことがありました。朝は、騒音への配慮でバスの「〇〇行きです」というアナウンスが流れないので、間違ったバスに乗ってしまったりしました。今はスマホで行き先を確認しています。それから、階段に黄色や白の色分けがしてあると見易いのですが、それがないところでは良く見えなくて、一歩が出にくいです。

 慣れている場所なら、だいたいの感覚で何がどこにあるか把握できていますが、自分が行ったことのない場所に行くときは、一人だとやっぱり不安ですね。 

―補助具はどのようなものをお使いですか?

 眼鏡やコンタクトレンズでは視力が出ないので、使っていません。スマホのカメラを使って、拡大して見ています。白杖もリュックに入れて出かけますが、点字ブロックに引っかかったりして取り扱いは難しく、邪魔になるので使わないです。視力が落ちてきたら、練習して使わないといけないと思っています。

―最初にRETISSAシリーズで網膜投影を体験なさった時のことを教えてください。

 あれは長居の競技場で日本パラ陸連の体験説明会に参加したときだったと思います。網膜に直接映像を投影するという発想が全くなかったので、最初に見せてもらったときは「すごい」と思いました。眼の中心で物を見ているように、顔をまっすぐにした状態でも見えました。今までは、頭をまっすぐにした状態で前が見えたことがなかったので、すごいです。

技術者チーム: 森様の場合は、網膜の右端に映像を投影した物が、真ん前にある物に見えるそうですので、森様用に調整するRETISSA Displayは、網膜の右端を狙って映像を投影するのがいいと考えております。

LKSはどのように利用なさっていますか?

 

主に陸上のフォームチェックに使っています。高橋コーチが撮影してくれたビデオをLKSで見て、フォームの確認をします。

技術者チーム:録画した映像に、動画の一部だけを拡大したり、右に寄せたり、コントラストをつけたりする加工をしてご覧いただいています。また、早い動きの動画を、止めたりコマ送りにしたりした時に、画像が流れないように改良中です。







―RETISSAについて、ご希望がありましたら聞かせてください。

 LKSを手で持って使っていますが、眼鏡型になれば便利ですし、歩く時にも使えます。普通の人の様に、まっすぐ前を向いて歩くことができればいいなと思います。

 長居の競技場での出会いがあるまで、このようなものがあると知りませんでしたし、僕の周りでもまだ知らない人が多いと思います。もっと情報発信して、視覚障害者だけでなく、晴眼者も使える機器として発展して欲しいです。健常者も、医療の現場もこの機器を使うようになったら嬉しいなと僕は思います。

高橋様:このような機会を頂いて有難うございます。今回LKSを活用して、選手の見える映像と、私たちが思っていた『選手の見えているイメージ』とが微妙に違っていたということがわかりました。これは驚きであると同時に、大きな発見でした。視覚障害のある選手と映像のイメージを共有出来たことは、本当に素晴らしいと感じました。視覚障害者の方々にとって、明るい未来が見えてきているのだということを、パラ陸上を通じて発信出来ればと思っています。これからもよろしくお願いいたします。

―ありがとうございました。

*眼鏡型のRETISSA Display II用のアクセサリーカメラは2020年末に発売開始予定です。

*このインタビューは9月18日に行いました。

*個人の感想です。見え方には個人差があります。

*LKSはLaser kaleidoScopeの略で、ハンディタイプの小型・広視野角網膜投影装置です。

*LKSは医療機器ではありません。視力の向上や治療を意図するものではありません。

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