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体験者インタビュー第13回「突然、目の前に鮮明な画像が現れた!」

最終更新: 1月22日

 RETISSAシリ


ーズ(民生機器)(以下RETISSAと略す)の網膜投影技術をご体験いただいた方に、その感想を伺うインタビューシリーズ。第13回は、視覚に障害を持つ人の困難を解明して、幸せになる解決策を提案する研究をしておられる氏間和仁先生に、RETISSAへの期待を含めたお話を伺いました。


ご協力いただいた方

お名前:氏間和仁様

ご職業:広島大学大学院 人間社会科学研究科

    准教授 博士(教育学)

眼の状態:先天性白内障 右眼 矯正視力0.1


ご体験いただいた製品:RETISSA Display II







―御研究についてご紹介ください。 

 愛媛県立松山盲学校、福岡教育大学を経て、現在は広島大学大学院人間社会科学研究科に勤務しています。私の研究室は,視覚が利用できない又は十分に利用できない人々の生活上・学習上の困難を科学的に解明し,その解決策を提案することによって,幸せな生活を送ることができる社会の実現を目指しています。

★研究室: https://home.hiroshima-u.ac.jp/ujima/src/ujima.html

―眼の状態をお話しください。

 僕の眼は先天性の白内障です。水晶体は取り除いておりIOL(眼内レンズ)は使用していません。僕が掛けている眼鏡のレンズは、プラスレンズの厚いレンズです。これを取ると、視界がぼやけて見えません。右眼の眼鏡での矯正視力は0.1~0.2。左眼は眼球振盪が強く、矯正しても殆ど視力は出ません。眼球振盪のためLEW(レーザアイウェア)を使うのは難しいと思います。視野の欠損については、眼科医の先生から指摘を受けたことはありません。

―RETISSAを最初に体験したときのことを聞かせてください。

 はじめて,RETISSAを試したのは,2015年ごろの日本ロービジョン学会の機器展示だったように思います。網膜投影型のディスプレイはそれまでにも経験したことがあり,鮮明に見える印象を持っていたため、列に並んで試用しました。

 最初の印象は「突然,目の前に鮮明な画像が現れる!」でした。当時はパソコンに映し出した写真を映し出していましたが,無理を言って手持ちのiPhoneをつないで,そのカメラで見た記憶があります。とても鮮明で,エッジが効いている画像でした。先天性の弱視の子供たちに,小さい頃からこのような画像を見せてやれると,どれだけ教育的意義が高いだろかと思いました。リハビリもそうですが,教育的な意義も大きいと思いました。そして,職業柄,これを使って見るための教育プログラムの必要性も感じました。












写真1











写真2


―RETISSA DisplayIIを約1カ月間お手元に置いてお試しいただきました。その様子を聞かせてください。

 最初に試したオリジナルフレームは顔の形に合わなかったようで、うまく固定できませんでしたが、今日、チタンフレームの鼻パットを狭く調整して、眼の位置と光学部の高さを合わせたので、手で押さえなくても使えるようになりました。

 RETISSAを使って印刷物を読むときは、被写体の真上から撮影する足の長いタイプのカメラ用固定器具を使っています。(写真1)iPhoneを印刷物の真上に固定してカメラで文字を映し、RETISSA Display IIに入力して見ますiPhoneを固定する三脚も広く市販されていますが、足が邪魔になるので使っていません。

 RETISSA Display IIを使うと、印刷物の文字が良く見えていいですね。これなら読むスピードを晴眼者に近づけることができると思います。

 また、手元を見ながらボールペンで文字を書くこともできます。前述のカメラ用固定器具を使うとスペースも確保できますのでいいと思います。(写真2)

 でも、この使用方法では、iPhoneの画面と自分の指が見えないので画面を操作できません。それを解決するアプリを作成しましょう。

 iPhoneの画面で予定表が読めますね。YouTubeも見たいです。

―改良を望む点があるとすればどのようなことでしょう。

 かけるだけですぐ見えるように、目の位置合わせがもっと楽にできると良いと思います。ケーブルもないほうがかけやすいのですが、このケーブルは何ですか?(※1)。それから例えば、メガネのフレーム側に、iPhoneを操作できるシンプルなボタンをつけて、何らかのイベントをiPhoneに送れるようにしていただけるといいかもしれません。そしてアプリ側で拡大・縮小・コントラストの調整・アプリの切り替えなどができると良いと思います。 さらに、RETISSAにジャイロセンサーをつけたりすることで、現在は物を見る良い機器ですが、デバイスとやり取りができて、もっと便利な利用方法を実現するアプリ開発につなげられると思います。

―白内障のためにコントラストの判別が苦手だという方用に、映像をより明るくより大きく画像処理するソフトウェアなども開発されています。RETISSAシリーズを便利に使いこなすためのアイディアがありましたら聞かせてください。

 僕はこれから、iPhoneの拡大鏡アプリの画面を見なくても操作できるインターフェース、コントラストや画面の回転を自由に操作できるソフト、見易いカレンダー・時計表示、画面全体表示などを開発していきたいですね。

 RETISSAを使うなら、例えば、4Kカメラで撮影している画像を電波でiPhoneに飛ばして網膜投影したり、教室で、4Kカメラで撮影した板書を右眼で見ながら、左眼でノート見て書き取ったり出来るかも知れないですね。ジャイロがつけば、カメラを頭の動きに追従させることも夢ではなくなりますね。

 元の画像処理が良いとさらに画質の良い絵が、RETISSAで見られるはずだと思います。今日のビデオカメラの画像は実にきれいで、光学的に解像度が高いですが、例えば、4Kのビデオカメラで撮影してハイビジョンで出力した画像は、webカメラなどの入力をハイビジョンで出力した画像よりきれいですから、同じことがRETISSAにも当てはまるのではないかと思います。私のところにも昨日、その装置が届いたところなので、実験してみます。

 それから、RETISSAのレンズ部分にカメラが付くと使い勝手が良くなると思います。(※2)

―先生として、子供たちにどのように役立つと思われますか?

 弱視の子供たちには、自らの視覚の存在に気づき、視覚を活用することを覚え、もっと見たいという気持ちを育てることが、より良い生活をするためにとても重要です。また、見たものを認知するためには、見た経験から推測するので、意識的にその経験を積み重ねる必要があるのです。先天的弱視の子供たちが幼い頃からRETISSAを使って見る経験を積み重ねることができれば、視覚を活用する教育がより効率的に進められると思います。

 私も、RETISSAを使った教育プログラムを作って、子供たちの教育をより意義あるものにしたいと思います。

―ありがとうございました。

【技術者チームの解説】

※1:RETISSAのコントロールボックスと眼鏡部分を繋ぐのは、光ファイバーケーブルです。

※2:外付けカメラをアクセサリーとして開発中です。今春に発売開始予定です。

*このインタビューは2020年10月2日に行いました。

*個人の感想です。見え方には個人差があります。

*RETISSA Display IIは医療機器ではありません。特定の疾患の治療や補助、視力補正を意図するものではありません。

*網膜投影技術の詳しい仕組みはこちら


第12回はこちら  第14回はこちら

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